大阪 占い師 恵司 宙宝先生の記事 啓蟄

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2022.3.10 啓蟄


陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出れば也


啓蟄 菜の花

夜半(やはん)の子二つ時(ね‐ふたつどき)、23時44分に黄経345°の位置を太陽が通過し、節気は啓蟄(けいちつ/2022年3月5日~3月20日)を迎えました。

 

節月_03啓蟄_二月節気 十二消長卦_02雷天大壮_二月

易の消長卦(算木に続けて占める陰と陽の割合から節月を表す12の易卦)は、二月は雷天大壮(らいてんたいそう)。一月(立春・雨水)の地天泰(ちてんたい)から陽の爻(こう)がひとつ増した雷天大壮(らいてんたいそう)は、大いに壮ん(さかん)である様を象ったものです。しかし、卦辞(かじ)は、「大壮は、貞に 利ろし(たいそうは、ていに よろし)」で、一見よさそうですが、吉や亨る(とおる)とは言い切りません。直訳すれば、万物の成就を意味する貞(てい)を得るには、万物の生育に必要なよろしい働きを意味する利(り)が必要ですとなります。つまり、とても勢いのある盛んなとき(大壮)ですが、調子に乗り過ぎると足元をすくわれるので、ほどほどのところで自制するようにと、勢い余って傲慢や横柄に転じることのないよう戒めている卦(か)なのです。

卦辞(かじ)とは、易の卦(か)についての吉凶です。『易』(後に儒教の経典として『易経』と呼ばれるようになったもの)は、古代中国で天地開闢(てんちかいびゃく)の神話の時代に、伏羲(ふっき/ふくぎ)によって著されました。そして、伏羲が八卦(はっか)とこれを重卦した六十四卦(ろくじゅうしか)を編み出してからおよそ1万年後の周(しゅう/B.C.1046頃~B.C.256)の時代に、卦辞(かじ)は文王(ぶんおう)が、爻辞(こうじ)はその息子の周公旦(しゅうこうたん)によって著されました。文王(ぶんおう)は、殷(いん/B.C.1700頃~B.C.1046頃)の時代の諸侯・周国の主君で、殷の討伐後は周王朝の始祖となった武王(ぶおう)とその弟の周公旦(しゅうこうたん)の父です。さらに、そのおよそ500年後の周代末期、鎬京(こうけい/後の長安、周王朝が開かれた当時の都)から洛邑(らくよう/後の洛陽)に周が落ち延びた春秋戦国時代(B.C.77年~B.C.221)に、儒家(儒教)の始祖である孔子(こうし/B.C.552頃~B.C.479年)が卦辞や爻辞の解釈書の『易伝(えきでん)』を綴り、ようやく完成となりました(十編の書から成る『易伝』は、『十翼(じゅうよく)』とも呼ばれています)。三聖(伏羲、文王と周公旦、孔子)によって、1万年以上もの歳月をかけて編み出された『易』は、八卦、六十四卦、卦辞、爻辞、易伝を以って、ようやく大成したのです。

二月節気の啓蟄の由来は、「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出れば也(暦便覧)」で、春の温かさが地中にも伝わり、冬眠していた虫たちが穴をあけて出てくるといわれる頃。地中に眠る虫たちにも春の気配が伝わる頃ですから、地上に棲むわたしたちも、干支暦 四月(現在の暦でおよそ5月)に向けて増してゆく春の陽気を感じながら楽しい毎日を。もっとも、雷天大壮(らいてんたいそう)が示す通り、陽気に乗せられて、衝動買いをしてしまったり、卒業シーズンに煽られて勢いだけで告白してしまったり、やる気だけで空回りしてしまったりにはご注意くださいね。何事も謙虚なぐらいでいるほうが、天に後押ししてもらえますよ。




 蟄虫啓戸/桃始笑/菜虫化蝶


桃の花 ツマキチョウ

啓蟄 初侯・蟄虫啓戸(すごもりむし とを ひらく/2022年3月5日~9日)

啓蟄 次侯・桃始笑(もも はじめて さく/2022年3月10日~14日)

啓蟄 末侯・菜虫化蝶(なむし ちょうと なる/2022年3月15日~20日)

 

啓蟄16日間の七十二侯はこの3つです。

 

啓蟄 初侯の「蟄虫啓戸(すごもりむし とを ひらく)」は、二月節気 啓蟄(けいちつ)(二十四節気)と同じく、春の訪れを知った蟄虫(けいちゅう/すごもりむし)が、戸を開いて(啓戸(けいと/とをひらく))巣穴から出てくるころ。春の陽気を感じながらのウォーキングなど、生命力をチャージしてみましょう。

啓蟄 次侯の「桃始笑(もも はじめて さく)」は、桃の蕾が開くころ。桃の木は、仙木(せんぼく)とも呼ばれ、邪気を祓い不老長寿を与える霊木だと古代中国より伝えられてきました。鬼門の方位に桃を植えるとよいという云われも、これが由来です。桃の枝を活けたり、風水アイテムの桃木剣(とうぼくけん)を飾るなど、桃のパワーをいただきましょう。

啓蟄 末侯の「菜虫化蝶(なむし ちょうと なる)」は、青虫(菜虫(なむし))が蝶になるころ。胡蝶(こちょう)や夢見鳥(ゆめみどり)の異名ももつ蝶は、春の季語。小林一茶も、「又窓へ 吹もどさるゝ 小てふ哉(またまどへ ふきもどさるる こちょうかな)」と、春風にあおられて、飛び立とうとしてもまた窓に戻される蝶の情景を詠んでいます。蝶のアイテムやアクセサリーをあしらって、春のオシャレを楽しんでみましょう。




春社(社日)


社日 稲穂

春社・秋社(春季社日・秋季社日)は、立春・立秋にもっとも近い戌の日で(太陽黄経が立春0°や立秋180°に達する瞬間が午前ならその前の戌の日、午後ならその後の戌の日)、立春のころの社日を春社と言います(今年は、3月16日(水)の戊辰日が春社)。

社日は、二十四節気とあわせて農業の目安とされてきた雑節に含まれます。農業ゆかりの節目ですから、土に関係します(戊(つちのえ)は、陽の土を表わす天干です)。

「社」の字は、土地の神様をお祀りしているところの意で古代中国よりもたらされた漢字ですが、農耕民族として歴史を重ねてきた日本で、産土神(うぶすながみ)を祀る日を社日と言うようになりました。土地の神様で、百姓の神ともいわれる地神(じがみ)が春社の日(特定の戊の日)に天から降り、秋社の日(特定の戌の日)に天に帰ることから、社日には農作業など土を動かすことはせず、春は豊作祈願を、秋は五穀豊穣の感謝をと受け継がれてきました。

目安として、半月前の一月中気・雨水(うすい)に土作りを始めてから、一ヶ月後の三月節気・清明(せいめい)に種を蒔いて本格的な農作業を始めるまでの、この二月節気・啓蟄(けいちつ)または二月中気・春分(しゅんぶん)の30日間のあいだに巡ってくる春社は豊作祈願にうってつけのタイミングですね。昔の人の知恵には感服させられることばかりですし、旬の食べ物しかり、生活習慣しかり、自然と共栄共存して天地万物からエネルギーをいただきながら生かされていることを、昔の人はしっかり受け止めて生きていたことが伺えます。

易を占じることにも、天命をいただいて、これを使命として生きるという意味があります。現実がうまくいかないとき、願いが叶わないとき、人はこれを不幸だと感じますが、大いなるものの視点では実はそうではないのです。あなたがうまく行かないと感じているとき、「それは、その生き方はあなたの使命ではないから、それに気づいて本当の使命を生きるように」とそのできごとを通してメッセージを伝えられているのです。天地万物、あらゆる生命と呼応するように、自身もそのひとつであることを感じながら、たっぷり深呼吸してみてくださいね。

豊作祈願(春)とその感謝(秋)の日である春社は、農作業を生業としていない方が多くなった現代では、馴染みがなくなっているかもしれません。しかし、現代の社日には派生して、五穀豊穣だけでなく、除災招福や家内安全など、日々のライフスタイルに不可欠な祈願が行われています。

氏神(うじがみ)様は、今、住んでおられる地域の神様ですが、産土紙(うぶすながみ)様は、生まれ育った地域を守っておられる神様です(生まれ育った地に住んでおられる方は、氏神様と産土紙様は同じです)。この機会に里帰りをして、お彼岸のお墓参り方々、産土紙(うぶすながみ)様をお詣りし、まだ始まったばかりの一年の幸先を祈願してみてくださいね。もちろん、秋のお彼岸の頃には、お墓参り方々、感謝のお詣りも。

そう何度も里帰りは難しいという場合は、神棚でこの節目を拝んだり、神棚を祀っていなくても、氏神様やお気に入りの神社を間接的にお詣りしてみるのもいいかもしれません。大地の恵みをいただいて生かされていることへの決意、その感謝の心で社日の日を過ごしましょう。

 

2022年3月5日(土)

恵司 宙宝(けいじ そら)